サンゴ礁の実態調査
サンゴ礁を利用する生物の種類や大きさなどを観察するとともに、成長量や光合成活性などを測定し、サンゴ礁生態系を構成する生物群の実態を明らかにします。また、生物の生息に重要な環境条件である水質・底質などの化学的要素、水温・流れ・光量などの物理的要素を観測します。生物の生態的特徴と環境条件とを照らし合わせ、分布の多寡を生み出した環境条件の特定や、今後の変動予測などを行います。
サンゴの育成
サンゴ礁の再生手法は、近傍に生息するサンゴの枝の一部を折って固着させる無性生殖法と、浮遊幼生を移植基盤に定着させて移植する有性生殖法があります。無性生殖法は容易で定着率が高く効率が良い一方、母体の群体に負荷がかかり、遺伝的に同一なクローンが増えてしまうことが懸念されます。このため、効率の良い有性生殖法を目指し、採卵して卵と精子を受精させ、プラヌラ幼生を移植基盤に誘導し、育成して移植する再生手法を開発・実施しています。
亜熱帯性海草の造成
亜熱帯性海草は種により好適な環境条件が異なります。このため、サンゴ礫や人工サンゴ礫などを用いて底質改善し、種ごとの生長様式に適した環境条件を造成した上で移植する方法に取り組んでおり、安定した亜熱帯性海草場の創出に成功しています。また、亜熱帯性海草の移植は栄養株を用いる方法が一般的ですが、種子を採取して実生株に育て、移植する方法も検討しています。
サンゴと海草の共生移植
リーフ内の亜熱帯性海草藻場では、サンゴと海草が混生している場合がみられます。私たちの調査で、混生はサンゴの安定性を高め、白化を抑制することが示唆されました。また、海草はサンゴと混生することで生長が良くなる現象も確認しています。亜熱帯性海草の造成では、この相利共生といえる混生を利用した「共生移植」を提案し、検証を進めています。